睡眠欲
2025年09月05日 10:37
2025年9月5日(金)
内科外来診療では、患者さんからお悩みの症状の聞き取りをすることから診察が始まります。そこでは、ほぼみなさん、「よく眠れている」「よく食べられている」ということを、自身の大切な健康のバロメーターにされ、お話をされます。
実はこれ、人間としてあたりまえのことなのです。
人間脳である大脳には健康維持をする働きはありません。原始脳が健康を維持していますので、原始脳の本能欲求が大切になります。原始脳の3大本能欲求は、睡眠欲、食欲(自己保存)、性欲(種族保存)です。動物は、これらの本能欲求を満たすために生きています。ということは、身体の健康を保つ上でこれらの本能から考える事が重要であり、人間は本能的にその欲求が満たされていないと生命維持の危機を感じるようにできているのでしょう。
ところで、この3つの本能欲求の強さの順序はわかりますか? 順番通りです!!性欲は最後です。「ひもじさと寒さと恋をくらぶれば、恥ずかしながらひもじさが先」とはよく詠ったもので、性欲は種族保存のためだけの本能ですから、個人の体の健康維持には実はあまり関係がないのです。
となると、人間の健康維持にとって、最も大切なことは、睡眠、次に、食欲、ということになりますね。
睡眠のゴールデンタイムは23時から2時の3時間です。なぜなら、人類は70万年以上、日の出とともに起きて日没とともに寝てきたので、日没と日の出の中間時間帯である23時から2時の間に最も成長ホルモンが分泌され組織修復がなされるからです。「寝る子は育つ」「良く寝る病人は早く治る」昔から人はよく知っていましたね。
睡眠の深さには周期があり、レム睡眠とノンレム睡眠がセットで合計1時間30分毎に繰り返されますから、理想が4時間30分。6時間。7時間30分。となりますが、十分な必要時間にはかなりの個人差があります。100歳以上現役医師として生きた僕が尊敬する日野原重明先生は若い頃から10時に寝て2時30分に起きていました。4時間30分と短いですがゴールデンタイムに熟睡していました。禅寺の修行僧も9時前に寝て3時前には起きます。睡眠時間の長さには個人差あれど、ゴールデンタイムをはずすと、たくさん寝ても疲れが取れにくいのが人間の体です。
というわけで、なんだか体調がすぐれないというそこのあなた、僕と同じように、ゴールデンタイムに睡眠をとるように心掛けてみて下さい。夏の疲れがでやすいこの季節、様々な不調が出てきますが、きっと効果があるとお約束いたしましょう。
さて、食欲のお話は次の回で、、、。