「未病で生きる」~腸活院長コラム~

心を作る臓器とは

2025年08月30日 11:16

2025年8月30日(土)


「悩みのない生活をしたい」「もっと心穏やかに暮らしたい」

さらには「もっと良い人間になってより良く生きたい」

人生で、こんなふうに思ったことのない人間は、おそらくいないのではないでしょうか。

今日は心のお話のさわりをします。

医学的にも、「心の持ち方」は健康維持にとって食べ物以上にとても重要です。

にもかかわらず、医療機関でその説明をする所は私の知る限りではほとんどありません。お金にならないからと言う理由もありますが、実は医療従事者自身も知らなかったからです。

2000年を超えて脳科学も急速に進歩しました。そのおかげで今まで謎であった心について、多くの事が科学的に説明できるようになりました。その中で僕が最も注目したのは、「自分がある」(自我)(心)という認識は、実は脳が作り出した幻覚である、という事実でした。

人間の脳も臓器のひとつです。何をする臓器かと言うと心を作る臓器です。胃が胃酸を分泌する、唾液腺が唾液を分泌するのと同じように、脳は心を分泌します。脳は、原始脳(植物脳+動物脳)と人間脳から構成されています。身体の健康は、ネズミやトカゲと同じで原始脳による自律神経の働きで保たれており、人間脳は思考と感情いわゆる「心」は、大脳皮質により作られています。実は、人間に苦悩が生じるのは人間脳と原始脳とのギャップのせいです。原始脳の本能は、自己保存と種族保存の二つしかなく、自己生存欲がとても強いです。反して、人間脳は、理性的に考え他者との「共存共栄」を目指します。論理的に考えると人間は1人では生存する事ができないからです。要するに相反する考えをする脳が、脳内に同居しているため苦悩が生じます。例えて言えば「トカゲ」と「マザーテレサ」が脳内に共存しているのが人間なのですね。そりゃいろいろな局面で悩み苦しむはずだわ。(笑)


これが証明されたとき、僕はとても気が楽になりました。もう道徳的に厳しく自分を責めなくてよい「清く正しく生きられない」のは脳構造のせいなので仕方ないからです。人格向上に関しては「まあ人間だから仕方ないなあ」と一生かけて気楽に努力するぐらいがちょうどいい。とはいえ、トカゲとマザーテレサをうまく共存させ、悩みがない人生にしたほうが幸せだと僕は思うので、その方法はまた次の機会にお話します。


ここで、興味深い話をひとつ!!

身投げの名所の川べりに住み、自殺をする人を助ける名物おばあちゃんがいました。

このおばあちゃんは、橋から川に飛び込むまでは声もかけずにじっと見ているだけです。そして、自殺目的で川に飛び込こんだ人が溺れかけた時に、長い棒を傍に投げ込むのです。すると皆、必死で棒に掴まるとのことです。なぜか?それは、脳のたった5%の大脳皮質で人は死のうと考えるのですが、それ以外の脳は生きたいので、溺れると大脳皮質の思い込みが解けて、原始脳の命令で無意識に棒を掴んでしまうからです。


心とはコロコロ変わるいい加減な代物。ですから、大脳皮質の作り出す心にみなさん騙されてはいけません。

「心こそ 心迷わす 心なれ 心に心 心許すな」